免疫組織化学染色試薬ヒストファイン■ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫におけるALK染色パターンの例末梢性T細胞リンパ腫(peripheral T-cell lymphoma: PTCL)のなかでも、ALK陽性ALCLは予後良好な病型であり、初発のALK陽性ALCLにはCHOP療法が有効とされています。一方、同じPTCLでも、ALK陰性ALCLや末梢性T細胞リンパ腫, 非特定型(PTCL, NOS)は標準治療レジメンが確立しておらず、臨床試験への参加なども推奨されています(13)。そのため、ALKタンパクの発現の有無を免疫組織染色で確認し、これらの病型を鑑別することは治療方針の決定において重要です。また、古典的ホジキンリンパ腫、特に結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫(nodular sclerosis classical Hodgkin lymphoma: NSCHL)とALCLは形態的に類似していることがあり、それらの鑑別にはALKの免疫組織染色が有用です(14)。ABVD療法を標準治療とするホジキンリンパ腫(15)とALCLを鑑別することは、適切な治療を行ううえでやはり重要です。初発のALK陽性ALCLにはCHOP療法が有効とされますが、大規模後ろ向き研究であるThe International Peripheral T-cell Lymphoma Projectにて、化学療法を受けたALK陽性ALCL患者の5年治療成功生存割合(5-year FFS)が60%と報告されているように(16)、一部の症例は再発・難治例であり、新しい治療の開発が期待されていました。このような背景のもと、再発または難治性のALK陽性ALCLに対してアレセンサ(一般名: アレクチニブ塩酸塩)の有効性と安全性を評価する医師主導治験(ALC-ALCL試験)が実施され(17)、当該試験結果に基づき、2020年2月、アレセンサが再発又は難治性の 融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に適応拡大となりました(18)。ALKを標的とする分子標的治療が行われるようになり、悪性リンパ腫の診断におけるALK免疫組織染色の役割ははますます重要なものとなっています。ALK■ 核と細胞質に陽性■ 細胞質に陽性77悪性リンパ腫の治療とALK免疫組織染色
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